その6
「爆裂お父さん」
「お父さ〜〜〜ん、スキヤキの用意が出来ましたよ〜」
・・・ここは「夢の王国」のとある一家庭。食卓の上座には青い服を
着て極端な角度に曲がっているメガネをかけたウィザードが座ってお
り、その横では赤い衣装を着たジェスターが食器の用意をしており、
その食卓の周りを黄色い衣装を着た犬のような獣人が楽しそうに走り
回っている・・・・・・・・いわゆる「どこにでもある家庭の風景」
が繰り広げられていた。
「・・・・ところでお父さん、今日ミストが連れて来るって言う友達
だけどさあ・・・・・」赤のジェスターがお箸と茶碗をテーブルの上
に並べながら青のウィザードに言った。
「ああ、どうも空の王国の騎士らしくてな、とても礼儀正しいとミス
トから聞いておる。歳もミストに近いらしいぞ」「へ〜〜〜じゃあ、
俺ともうまくやって行けるかなあ?」「うむ、そうなるといいなあ。
はっはっは♪」・・・食卓は明るい笑い声に包まれていた。
ピンポ〜〜〜〜ン♪
「おお、どうやらミストが帰って来たようだな。ミルア、出迎えて
差し上げなさい。」「ういさっ!!!」赤のジェスター〜ミルアは
客人を確かめるべく玄関に走って行った・・・そして暫くしてミスト
ちゃん、ミルアと共にブルーナイトTAIYOが食卓のある部屋へと入っ
て来た。「おお、よくぞ参られた。まあ座りなさい。」ウィザード
がそう言うとTAIYOはヘルメットを脱ぎ食卓の下座へと座った。
「あ、紹介するね〜ん♪サムナーの塔で知り合ったナイトのTAIYO
ちゃんだよん♪」「・・・・はじめまして。私、”空の王国青の騎士団
第6部隊”に所属しております、TAIYOと申します♪現在はサムナー
の勇者としてミストさんと共にスコーン討伐の任務に就いておりま
す・・・・・・あ、これはつまらない物ですが、どうぞ♪」
TAIYOは挨拶で下げていた頭を上げ、紙袋の中から包みを取り出して
ウィザードの前へその包みを差し出した。・・・・・・その包みには
「下呂温泉銘菓”下呂の香り”」と書かれていた。
「・・・いや、そんなにお気を遣わなくても・・・・・・おお、そうだ。
私と家族の紹介をするのを忘れておったわい。私はこの家の主の
ブラス。こっちにおるのは長男のミルア、そしてペットのラッピー
だ。・・・まあ、このまま話をしているのも何だ。早速スキヤキを
頂こうではないか♪」ブラス達とTAIYOは早速ぐつぐつと煮えたスキヤ
キの鍋があるテーブルを囲み、スキヤキをつつき始めた。
「ところでTAIYO君、スコーン討伐の任務に就いていると言っておった
ろう?キツクはないのかな?」ブラスはお椀に入った生卵を箸で溶き
ながらTAIYOに言った。「え?キツイと言ったらキツイですけど・・・
ミストさんのような仲間もいますし、それにプレステ2ソフトガント
レットダークレガシーの説明書にも”高い防御力をいかしてジェネレ
ータに突撃し、コンボで破壊する。そんな荒技をやってのけてこそ
ナイトの名にふさわしい”と書かれていますし・・・・・・・・・」
・・・その時、ブラスのメガネが「キュピーン!!」と光り、TAIYO
の方をぎっ、と睨み付けた。「あ、あの〜、私何か悪い事言いました
・・・・・?」TAIYOが恐る恐るブラスに問いかけたその時!!!!
「ジェスター家家訓っっ!!!!」「は、は??」
イキナリ立ち上がり大声で叫ぶブラス・・・そしてそれに引くTAIYO。
「ジェスター家家訓〜〜!」ミストちゃんとミルアとラッピーも声を
揃えてブラスに続いた。「な、何なんですか?この家族!?・・・」
「自分のステータスに頼る奴は〜〜〜〜」
「自分のステータスに頼る奴は〜〜〜〜」
「君もポ○モンゲットだぜ〜〜〜〜!!」
「君もポケ○ンゲットだぜ〜〜〜〜!!」
「わ・・訳わからない・・・」TAIYOがあまりの出来事に混乱している
うちに家族全員がテーブルを部屋の奥へと運んだ。そしてブラスがTAIYO
の前に立ち・・・・・がしっとTAIYOの両足を持ってTAIYOをジャイアント
スイングで回し始めたではないか!!!!!!
「ひぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
・・・・・そして数秒後、TAIYOは部屋の隅っこで目を回しながら倒れ
ていた。その横ではブラスも息を切らしながら横たわっていた。
「あ、TAIYOちゃ〜んお父さん切れたら家訓を叫んでからジャイアント
スイングで人を回すクセがあるから気をつけてねん♪」ミストちゃんが
TAIYOにそう言うとTAIYOは「あ、あい〜〜〜気を付けます〜〜〜」と
へろへろの口調で答えた。
・・・・そして皆がスキヤキを食べ終え、TAIYOも一緒に後片付けをして
いると、ブラスが「おお、そうだそうだTAIYO君。これから私は遊園地
にパトロールに行くのだが、君も同行するかね?」と言った。
「遊園地・・・・・い、行きたいっ!遊園地は大好きです!!!」
「そうか。なら暫く待ってなさい。着替えて来るから。」・・・そして
青のウィザードの正装に着替えたブラスとTAIYOは夢の王国の第1エリア
である遊園地へと向かって行った。
☆
☆
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2人が目的地に辿り着くと、まずブラスが周りを見回しだした。TAIYO
もとりあえず周りを見回す。・・・夜の遊園地はとても静まり返ってい
て、どこか寂しささえも感じられる。「あのー、いつもこうやってパト
ロールしているのですか?」TAIYOがそう言うと、「・・うむ。私が以
前までこの王国を支配していたスコーンのガーディアンを倒したから
昼間は大丈夫なのだが、夜になるとまだ残っているスコーンの残党が
暴れ出すのでな・・・こうやって見回りをしているのだ。」ブラスは歩きな
がらTAIYOにそう話したその時。「・・・!」ブラスが何かを感じたようだ。
「・・・メリーゴーランドの方だな。行くぞ!TAIYO君!」「はい!」
2人がメリーゴーランドへと着くと、何とモンスターが勝手に機械を作
動させて遊んでいるではないか!それも超高速回転で!
「いかん!このままだとモーターがいかれてしまう!TAIYO君、止める
のだ!」ブラスは荷物袋からポーションを取り出すと、それをモンスタ
ーの方へと投げ付けた。遊んでいたモンスターはあっさりと全滅した。
「ブラスさんっ!!」メリーゴーランドの制御室に入っていたTAIYO
がブラスを呼びつけた。「どうしたTAIYO君・・・・っ!!!??」
ブラスが制御室入った途端ブラスは声を詰まらせた・・・・何と制御
パネルがことごとく破壊されていたのだ。ひたすら高速で周り続ける
メリーゴーランド・・・・「・・・そうだ、TAIYO君。確か夕食の時に
防御力が何とかと言っていたね?」「ええ・・・・・って、まさか!?
私があそこに入って止めて来いと!!??」「うむ。」
・・・・サイレントに渋るTAIYO。しかしここで断ったらまた回される
危険性がある・・・・「・・・お父さん、やってみます!」
TAIYOはそう言うと、神風特攻隊の如くメリーゴーランドに突っ込んでい
った。「・・・生きて帰って来るんだよ・・・・」高速で回っているメ
リーゴーランドと格闘しているTAIYOをブラスは静かに見守った・・・・
・・・ブラスのその瞳には涙が溢れていた・・・・。
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「・・・しっかし、よく生きて帰ってこれたねぇ〜たいちゃん。」「まさに
”ナイト”だな〜、カッコイイぜ!!!」「すごいエナ〜〜〜〜〜♪」
無事メリーゴーランドを止め、ブラスに担がれてブラスの家へと戻って
来たTAIYO・・・・・。そのTAIYOに賞賛の言葉をかけるミストちゃんと
ミルアとラッピー。「TAIYO君、今晩はウチに泊まって行きなさい。
サムナーには私が言ってやるからな。」「は・・・・はい〜〜〜〜〜」
・・・虫の息状態であっても礼儀は忘れないTAIYOであった。
「・・・・酷い目にあったけど・・・スキヤキ美味しかったなあ。」
BY TAIYO。